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【シャドウランSS】とある、エルフのアル中記

リプレイ用のセッションが、連夜オンセで行われてます。その中、とあるPCのPLがSSを書いてくれたので記載しますね。
*   *   *





叶うなら胃を口から取り出して冷たい水で丸洗いしたい。

本気で彼女はそう思っていた。

アルコール臭漂うトイレの中で、うんざりと自分が今し方ゲロったものを見る。固形物なし。すべて透明の液体。スコッチとワインとビールと、その他もろもろに胃液をプラスしたカクテルだ。なんかおかしいだろこれ。

太陽の光がちょうど窓から差し込んできて、キリキリと脳髄に食い込んでくるみたいだ。

ああ、全ての原因は明らか。つまり酒が足りなかったんだろう。そうに違いない。

そう思いながら、彼女は陶器に頬を寄せた。冷たい感触が心地よい。それが便器であることは重々承知していたが、もはやこの際どうでもいい。酒の勢いで毎週掃除してるし。

とりあえず手に持っていたテキーラで口をすすぐ。強烈なアルコール濃度が彼女の脳をキックして現実に立ち戻らせる……ような気がする。

『おい(oi)、聞こえてるか?』

体内に埋め込んだCMTクリップから“お仲間(チャマー)”の声が響いて、思わずうめき声を挙げる。内蔵通信は“お仕事”の際には音が外に漏れずに重宝するが、頭の中に直接響くわけだから、二日酔いの朝には何ポンドのパンチを食らったよりなお辛い。

『ごめん、お願い、コムリンクにかけないで』

それだけ告げて、ポケットの中から端末を取り出しながら、トイレから這い出す。

室内の電話(コム)に着信。半コールで出る。

「何。」

『何、じゃねえだろ。そろそろ“仕事(ビズ)”の時間だ。そっちの準備は出来てるか?』

顔をひとつしかめて、頷く。

「今日の私のポジションは廃ビルでしょ? なら着替えも済んでる。道具も全部。いつでも行けるわ」

『武器はワルサー?』

「そ。相手はトロールでしょ? 炸裂弾奮発するから、分け前多めにお願いね」

『OK、ならいつものところで。バスも伊藤もついてるぜ』

「シャルは?」

 電話の向こう、元警官(ローンスター)のサムライ(レイザーガイ)は変わらぬ口調で、

『俺の横でメモ取ってるよ』

「りょーかい」

通信終了。

ため息と共にダイニングのテーブルに手を伸ばす。

ワルサーMA-2100の無骨な銃身。

マガジンに収められた金色の弾丸が整然と並んでいる。

いざという時のためのアレス・バイパー・スライバーガン。

ワイオミングで牧場(ダンディライオン・イーター)やってるの両親が知ったら卒倒しそうな『仕事道具』だ。まさか一流企業(ビッグ10)のロビーで愛想笑いを振りまいてるはずの娘がこんなモノ抱えて裏路地走り回ってるだなんて、夢にも思うまい。

それもこれもあのクソ上司のせいだ。自分の趣味だったクレー射撃の成績をどこからか見つけてきて、企業の工作部隊に誘ってきた、ちびヒューマンのはげねずみ。さも申し訳なさそうな顔で何が「ちょっとだけだから、ね!」だ。おかげでごく普通のOL生活を営むはずだった自分はこのざまだ。あの男、お茶くみ頼むのと同じ表情で転落人生のキップを切りやがって、あの面の下には皮膚装甲でも貼り付けてあったに違いない。いつか顔面を吹っ飛ばす日が来たら確かめてやる。

その様を想像したら快感より先に吐き気がこみ上げてきた。

ごめんなさい、無理、駄目。そもそもあたし、人を撃つのって向いてないし。しかもエルフって長生きの分、記憶力いいから撃った人間のこと全部覚えてるし。そのたびにフラッシュバック起こしそうになるからやっぱり人殺しはよくないのだ。

思い出すとしばらく鬱になるので急いでテキーラを喉に流し込む。そういえば今月の酒代が尽きそうなんだっけ。今度の仕事でいっぱい稼がないと。そのために人を撃つわけだが、生きるためだから仕方ない。酔って景気の良くなった頭がそう判断するからきっとそれが正しい。

ライフルをケースに入れ、拳銃を懐に仕舞い、ポーチに弾薬を補給。ついでに仕事場で景気づけに飲む“燃料(ウォッカ)”をボトルに入れてこれもポーチに。準備万端。

“お仲間”からコール。思ったより時間が過ぎていたらしい。急かしているようだ。急いで扉を潜り抜ける。



――マチダアンダーグラウンド。日本企業の摩天楼の影、吹き溜まりのゴミ溜めだ。

ここを通る連中の大半はごろつきやヤクザ連中、それに群がる物乞いくらい。

さらにその影を縫うようにして走っていく、彼女のような連中を人はこう呼ぶのだ。



シャドウランナー、と。

* * *



ゲロフとPL間で、大人気の彼女が登場するリプレイは今冬発刊予定!!!

素敵な絵師さんの紹介や、キャラクターの紹介なんかを載せていきたいと思います。
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テーマ : TRPG
ジャンル : サブカル

     

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プロフィール

XI III VI さいさんろく

Author:XI III VI さいさんろく
四人サークル XI III VI(さいさんろく)の活動記録やら呟きやら、うんにゃらもんにゃら。まだ何を作るかも不明、発展途上。先生の次回作に御期待下さい。


GT:サークル一若いメンバー。代表に祭り上げられる。DX3rdリプレイコンテスト応募作品のPLを務めた。彼のGMは、荒削りな分熱い。

マツカワ:りゅうたまのモンスターデータデザイン等を務めた、プチデザイナー。トリッキーなシナリオも、シンプルなシナリオもこなし、描写が一つ一つ丁寧なGM。

Fox:狐さんとも呼ばれる事が多い。緻密な計算に基づいたシナリオを作成する…とおもいきや、とんでもシナリオも用意する万能理系選手。

玻璃乃真砂(はりの まさご):サークル広告塔。特記事項としては、DX3rdリプレイコンテスト応募作品が奨励賞を受賞した(関係者皆ヤッタヨー!!!)。発起人ではあったけれど、GMではない。けど、編集頑張りました。殆どPL専門。企画人。絵も描きます。

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シャドウラン4thは、ラース・ブルーメンシュタイン、スザクゲームズ、シャドウランナーズ、株式会社新紀元社の著作物です。

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